上田市郊外の旧街道近くに位置する住宅地で周囲には古い民家もありのどかな田園風景の広がる場所です。将来農業を営むためにUターンした若い夫婦と子供たちのための住まいです。
敷地には建主のお祖母さんの住む昔ながらの母屋があり隣にはご両親の住む離れがあり、歴史を感じる立派な蔵と車庫倉庫がありました。敷地の中で一番古い蔵の雰囲気がとても良く、周辺の住宅も民家が多いために、環境に馴染むように和の建築を意識しながら新しいものを目指して設計をしました。
建主のご要望は敷地北東側に広がるご自身の畑と烏帽子岳を眺められるようにすることと、敷地南側の庭園を愛でられるようにすることでした。1階ダイニング北側に大きな窓を設置して食事をしながらの眺望を確保し、2階寝室の北側は全面窓にして1階から3尺飛び出させることによって寝ながら四季の景色を楽しめるようにしています。リビング南側にはウッドデッキを設けて目の前の庭園を眺めながらのんびり出来るような場所にしました。
子供たちがまだ小さいことから2階は個室として仕切らず寝室を含めて広いワンルーム空間とし通風と眺望を共有しています。広いスペースで子供たちはのびのび遊ぶことができます。将来農産物の直売やカフェなどが出来たらとのご希望を叶えるため、建物西側はフリースペースとして多目的に使える場所にし将来の変化に対応出来るようにしました。全体的に造り込み過ぎない建築を意識しています。農業の未来を垣間見るとても楽しみな住まいになりました。