2世帯住宅のつくりかた

先日中野市にて2世帯住宅の地鎮祭に参加して来ました。親世帯と子世帯が完全に分かれた大きな住宅です。

これまで2世帯住宅の設計を多くさせて頂いています。
その中で私が一番気にしながら設計をしていることがあります。
それは親世帯と子世帯の距離感です。

親子は「スープの冷めない距離」に住むのが良いと昔がら言われています。つまり別居近住です。
長野県の車社会でいえば2km~10km程度でしょうか。お互いが干渉し過ぎない距離ということでしょう。

しかし2世帯住宅といえばそうはいきません。すぐ横にいるのでいつでもアツアツのままスープをもって行けます。
(持ってきてもらえます)
いくら仲の良い親子(嫁姑問題等も含む)でもケンカをすることはありますし、お互いの過干渉は争いの元と考えます。
それで距離感なのです。

2世帯住宅といっても色々なパターンがあります。
距離感が取り易い順番に列記すると

⓵完全分棟型(同じ敷地内に2件建てます又は既存母屋の敷地に子世帯を別棟で建てます)
⓶1棟分棟型(屋根は繋がっていますが玄関も2建分作ります。
       この場合、中庭やウッドデッキ、バルコニー等で一緒に過ごせる空間をつくるととても良い関係性           を保ちつつ、豊かな空間が生まれます)
⓷1棟分離型(屋根は繋がり、玄関廊下等は共用しますがLDK、個室はそれぞれで儲けます。
       この場合は玄関廊下の取りかたに注意し、共用スペースが作れると良いと思います。
⓸1棟共有型(ほぼ一般の住宅と同じで、玄関、LDK、水廻りを共有し個室のみ必要数用意します)
       この場合は距離感を確保するのは難しく、なるべく個室同士の距離を離して
      プライバシーを確保します。

大ざっぱに4種類に分けましたがどれかを複合した場合も考えられます。
敷地や予算の問題がありますので理想的な⓵完全分離型は難しいかも知れません。
ただし「距離感」と「共有スペース」のキーワードは大事にした方が良いのではないかと考えています。

 

20代で家を建てる


先日、青木村村松の家の外部足場が外され、外観が姿を現しました。
基本プランは和の家ですが、現在一般的に使用される素材を使用し、懐古的な民家を造るのではなく現代の和の家を目指しています。
とてもカワイイ建物になりそうです。今年8月に竣工予定で今から完成が楽しみな建物です。

この建物のクライアントさま 実は20代のご夫婦です。
「20代で家を建てるなんてすごい!」「思い切ったね」
等々の言葉が聴こえて来そうですが・・・少し考えてみると賢明な決断なのではないかと思っています。

現在、会社などで働いている場合、定年退職は60歳です。高齢化が進み皆が65歳までは働くようになるかも知れません。
職場にもよりますが退職金なども期待出来ないこともあるでしょうし、年金もこの先どうなるか判りません。

そんな解らない未来を少し悲観的かも知れませんが現実的な予想をしてみると
家を建てるのは少し無理してでも早くても良いのではないか?と今回思いました。

住宅ローンは一般的に30年や35年です。30歳までに住宅ローンを組まなければ、60歳、65歳までに完済は
出来ないですね。(繰り上げ返済をしない前提ですが・・・)
銀行は金利も安く現在借り手市場です。毎月の家賃程度の返済で自分の財産になるのです。

無理をして豪邸を建てる必要は無いと思います。自分の身の丈に合った、長く愛せる家を若いうちに建てるのも
賢い選択なのではないかと若いクライアントさまに教えて頂いた次第です。

2018 Atta一級建築士事務所アトリエta 5周年

さてさて2018が始まって半月程が過ぎようとしています。
遅くなりましたがあけましておめでとうございます。

今年アトリエtaは開業5周年の節目の年になります。
皆さまのお陰で順調に仕事のご依頼も増えて来ています。
昨年末には『上田原のクリニック』において上田市都市景観賞を受賞することも出来ました。

私の中で社会人になって以降、不思議と5年のサイクルで新しいチャレンジをして来ました。
今またそんな新たなフェーズへの願望が湧いて来ています。

とはいえ具体的なプランがあるわけでも無く、ただただ今年からなにか変えてみようかな。
もっと世の中のお役に立ちたいなと漠然と考えている次第であります。
とにかくアトリエtaもっと頑張るということです。乞うご期待!
本年もよろしくお願いいたします。

Atta一級建築士事務所アトリエta 俵周次郎

『階段造作工事』

2014.05

内装工事の進む中、今回は階段の造作工事です。

まず材料ですが、杉無垢板で厚さ40mmを使用しています。

材料1  材料2

1枚ものの板を12枚。とても贅沢な材料選定となりました。

階段の材料は一般的にタモやナラ等の堅木の集成材を使います。

それは毎日の歩行に耐えられる強度があり安全で、材料も入手し易いからです。

とても理に適った材料だからです。

しかし今回は自分の家ということもありあえて柔らかい杉材を選定しました。

理由は『フローリング張り』と同じで

身体感覚の問題です。固い肌触りでテカテカに塗装された階段よりも

木の柔らかさを直に感じられる方が良いと感じたのです。

側面  正面

材料はサンダー掛けをせずに機械で加工したままの状態としました。

表面は適度にざらざらしていて滑り止めにもなります。

ただし最大の欠点はフローリング同様、傷つき易さです。使うにはある程度の覚悟が必要です。

上から

階段を歩くことは、床を歩くことと違い、視線が上下に移動する動線ということです。

建物の空間認識を視覚的に最も刺激してくれる場所です。

従来の階段室は階段だけの閉じた空間で上下の移動だけを目的としています。

信州においては寒さ対策としてはとても有効です。

しかし、空調対策をしっかり考えた上で、階段の持つ視覚の面白さを存分に生かす

ことができれば、豊かな空間を生み出すきっかけになるのではないかと考えています。

アトリエta 俵

『フローリング張り』

2014.05

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断熱工事が終り、いよいよ内装工事に入りました。

まずはフローリング張りです。

フローリングには大きく分けて2種類あります。

それは複合フローリングと無垢フローリングです。

複合フローリングはいわゆる合板の表面に薄い無垢材を張り付けたものです。

現在でも多く使われている材料で安価です。整ったきれいな木目で幅広の希少な木材風に揃えたいといった

見た目を重視する場合などに有効に使えます。

近年の自然派志向の傾向では無垢フローリングを使用する事が多くなっています。

色々な樹種がある中で、堅木と呼ばれる 桜やナラ、タモ等がフローリングに適した材料と言われています。

確かにとても固い材料で、傷も付き難く、とてもフローリングに適した材料だと思います。

しかし、硬い木ですので年輪が細かく育つのが遅く、高級な材料と言えます。

そして触った質感も固いのです。

AttaHouseではフローリングで使用するには柔らかい杉を採用しました。

通常のフローリングの厚さは12mmや15mmですが、柔らかい材料で反り易いので30mmのものを使用しています。

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杉板フローリングの厚さ30mmのサンプルをできる限り揃えました。

秋田杉に相生杉、吉野杉 全国各地の杉で違いがあります。

また赤、白、源平(赤白が混ざったもの)の色や一等、上小節等 節の多さ

でも違いがあり、どれも個性があります。

杉と決めてもこれだけの多様性があるので

無垢フローリングの選定はとても奥深いです。

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最近は杉や松等の柔らかい木をフローリングに使う住宅が増えているような気がします。

それは10年程前には考えられないほど増えていると思います。

杉や松はちょっと引っ掻いただけで毛羽立ちますし、何か尖ったものを落とせば、簡単に傷が

付きます。

しかし身体に一番触れる面は床なのです。

沢山ある欠点を差し引いてもこの温もりのある身体感覚には変えられないものである

ということに皆気付いて来たのではないでしょうか。

 

塗装も大切な要素なのでまた次回書きます。

アトリエta 俵