ウィズコロナの暮らし方

コロナウィルスの脅威が世界中に広がり、働き方、暮らし方を変えなければいけなくなりました。

日本では収まって来ていますが、またいつ拡散するか判らない状況です。

恐らく、ワクチンが出来て世界中の人に行き渡ってやっと収束したと言えるのではないでしょうか。

とはいえ社会生活をずっと止める訳には行きません。しばらくはコロナウィルスと共に距離を保ちながら生活しなければならないでしょう。

そんなウィズコロナ時代の暮らしについて、住宅は何が出来るか考えてみました。

・仕事について

自粛期間中は盛んににテレワークを推奨するよう要請がありました。テレワークの出来る職種は限られていると思いますが、今後はこれをきっかけに在宅で仕事をする人が増えるのではないかと考えています。

働き方が変わると住宅も変化します。

現実的にはリビングスペースを充実させることが一番だと思います。

通常、ソファ(こたつ)にテーブルがあれば成り立っていたリビングですが

今後、ちょっとしたワークスペース、スタディースペースをリビング内の一角に設置することが望まれます。小さい子供のいる家族では子供に目が届く場所であり、家族の雰囲気を感じながら仕事をすることが普通になるかも知れません。

書斎や独立したワークスペースを作れればベストです。集中して仕事をするには個室はあった方が良いです。ただこのスペースは3帖~4.5帖もあれば十分だと思います。

個人のスペースは小さく小さく。みんなのスペースは広く広くが基本になると考えます。

・子育てについて

現在の子育て世代は私の場合もそうですがほとんどのクライアントさまが共働きです。

仕事と子育てを両立させなければなりません。

『家事の負担を減らす工夫』が大切だと思っています。

具体的には洗濯です。乾燥機付の洗濯機で済ませる家庭が増えていて、外に干すことが出来るのは休日だけという場合が多いです。

屋外の物干しスペースは小さく、屋内に物干しスペースを作る。これが一般的になって来ています。

また洗濯をして干して収納するを一ヶ所で出来るスペースが重宝されています。

脱衣スペースを広くつくるのが現実的ですが、洗濯、収納、アイロン掛け、衣替えスペースをつくっておくと便利です。

またキッチンの動線も配慮したいところです。玄関から直接行き来できてその間に食品庫、ゴミ庫、レシピがチェックできるちょっとしたワークスペースがあると便利です。雑多なものを収納できて掃除も楽です。

学校や保育園が始まったとはいえ、また休校や閉鎖されることがあるかも知れません。

そんな時は広いリビングの一角にタタミコーナーのようなスペースがあると幼児のいる家族に重宝されています。

 

また小学校低学年位まで、子供部屋は要らないと思います。遊んだり勉強をするのはほぼリビングです。

ですので子供が自分の部屋が欲しくなるまではフリースペースとして出来るだけ大きな一体空間を作っておくことをお勧めしています。もしまた自粛要請が来たとしてもここでかなりの運動が出来ます。

高学年くらいになったときに、個室にする。又は家具やカーテンで仕切る。それを子供自身が家具の配置などを工夫して居場所をつくる。これが理想だと思っています。

仕切られていない大きなスペースのに慣れている子供はきっちり壁に囲まれた部屋でなく、なんとなく曖昧に区切られた自分のスペースに違和感を感じないものです。

 

 

アフターコロナ・ウィズコロナと転換期の今、住まいについて考える良いきっかけとなると思います。

ぜひこの機会にあなたの家の住環境について考えてみてはいかがでしょうか。

2世帯住宅のつくりかた

先日中野市にて2世帯住宅の地鎮祭に参加して来ました。親世帯と子世帯が完全に分かれた大きな住宅です。

これまで2世帯住宅の設計を多くさせて頂いています。
その中で私が一番気にしながら設計をしていることがあります。
それは親世帯と子世帯の距離感です。

親子は「スープの冷めない距離」に住むのが良いと昔がら言われています。つまり別居近住です。
長野県の車社会でいえば2km~10km程度でしょうか。お互いが干渉し過ぎない距離ということでしょう。

しかし2世帯住宅といえばそうはいきません。すぐ横にいるのでいつでもアツアツのままスープをもって行けます。
(持ってきてもらえます)
いくら仲の良い親子(嫁姑問題等も含む)でもケンカをすることはありますし、お互いの過干渉は争いの元と考えます。
それで距離感なのです。

2世帯住宅といっても色々なパターンがあります。
距離感が取り易い順番に列記すると

⓵完全分棟型(同じ敷地内に2件建てます又は既存母屋の敷地に子世帯を別棟で建てます)
⓶1棟分棟型(屋根は繋がっていますが玄関も2建分作ります。
       この場合、中庭やウッドデッキ、バルコニー等で一緒に過ごせる空間をつくるととても良い関係性           を保ちつつ、豊かな空間が生まれます)
⓷1棟分離型(屋根は繋がり、玄関廊下等は共用しますがLDK、個室はそれぞれで儲けます。
       この場合は玄関廊下の取りかたに注意し、共用スペースが作れると良いと思います。
⓸1棟共有型(ほぼ一般の住宅と同じで、玄関、LDK、水廻りを共有し個室のみ必要数用意します)
       この場合は距離感を確保するのは難しく、なるべく個室同士の距離を離して
      プライバシーを確保します。

大ざっぱに4種類に分けましたがどれかを複合した場合も考えられます。
敷地や予算の問題がありますので理想的な⓵完全分離型は難しいかも知れません。
ただし「距離感」と「共有スペース」のキーワードは大事にした方が良いのではないかと考えています。

 

20代で家を建てる


先日、青木村村松の家の外部足場が外され、外観が姿を現しました。
基本プランは和の家ですが、現在一般的に使用される素材を使用し、懐古的な民家を造るのではなく現代の和の家を目指しています。
とてもカワイイ建物になりそうです。今年8月に竣工予定で今から完成が楽しみな建物です。

この建物のクライアントさま 実は20代のご夫婦です。
「20代で家を建てるなんてすごい!」「思い切ったね」
等々の言葉が聴こえて来そうですが・・・少し考えてみると賢明な決断なのではないかと思っています。

現在、会社などで働いている場合、定年退職は60歳です。高齢化が進み皆が65歳までは働くようになるかも知れません。
職場にもよりますが退職金なども期待出来ないこともあるでしょうし、年金もこの先どうなるか判りません。

そんな解らない未来を少し悲観的かも知れませんが現実的な予想をしてみると
家を建てるのは少し無理してでも早くても良いのではないか?と今回思いました。

住宅ローンは一般的に30年や35年です。30歳までに住宅ローンを組まなければ、60歳、65歳までに完済は
出来ないですね。(繰り上げ返済をしない前提ですが・・・)
銀行は金利も安く現在借り手市場です。毎月の家賃程度の返済で自分の財産になるのです。

無理をして豪邸を建てる必要は無いと思います。自分の身の丈に合った、長く愛せる家を若いうちに建てるのも
賢い選択なのではないかと若いクライアントさまに教えて頂いた次第です。

『フローリング張り』

2014.05

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断熱工事が終り、いよいよ内装工事に入りました。

まずはフローリング張りです。

フローリングには大きく分けて2種類あります。

それは複合フローリングと無垢フローリングです。

複合フローリングはいわゆる合板の表面に薄い無垢材を張り付けたものです。

現在でも多く使われている材料で安価です。整ったきれいな木目で幅広の希少な木材風に揃えたいといった

見た目を重視する場合などに有効に使えます。

近年の自然派志向の傾向では無垢フローリングを使用する事が多くなっています。

色々な樹種がある中で、堅木と呼ばれる 桜やナラ、タモ等がフローリングに適した材料と言われています。

確かにとても固い材料で、傷も付き難く、とてもフローリングに適した材料だと思います。

しかし、硬い木ですので年輪が細かく育つのが遅く、高級な材料と言えます。

そして触った質感も固いのです。

AttaHouseではフローリングで使用するには柔らかい杉を採用しました。

通常のフローリングの厚さは12mmや15mmですが、柔らかい材料で反り易いので30mmのものを使用しています。

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杉板フローリングの厚さ30mmのサンプルをできる限り揃えました。

秋田杉に相生杉、吉野杉 全国各地の杉で違いがあります。

また赤、白、源平(赤白が混ざったもの)の色や一等、上小節等 節の多さ

でも違いがあり、どれも個性があります。

杉と決めてもこれだけの多様性があるので

無垢フローリングの選定はとても奥深いです。

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最近は杉や松等の柔らかい木をフローリングに使う住宅が増えているような気がします。

それは10年程前には考えられないほど増えていると思います。

杉や松はちょっと引っ掻いただけで毛羽立ちますし、何か尖ったものを落とせば、簡単に傷が

付きます。

しかし身体に一番触れる面は床なのです。

沢山ある欠点を差し引いてもこの温もりのある身体感覚には変えられないものである

ということに皆気付いて来たのではないでしょうか。

 

塗装も大切な要素なのでまた次回書きます。

アトリエta 俵

 

 

 

『建て方』

タイトル

2013.12.21『建て方』が行われました。

建て方とは「建前」「棟上」「上棟」とも呼ばれており、その名の通り、棟が上がるまで

骨組を組み上げる作業のことです。

プレカット工場で、木材の仕口、継手の加工が行われた場合、大工さん仲間が

集まって1日で組み上げます。従来、手刻みで木材を加工していた時分は(今でも行っている所もあります。)もっと時間を掛けての作業となります。

①1 F柱 ②IMG_4626 ③2F梁

④IMG_4722 ⑤IMG_4807 ⑥IMG_4865

建て方に至るまでに、プレカット工場からプレカット図という施工図をもらい

設計図通りになっているかどうか確認します。さらに構造材と仕上げ、サッシ等の

細かい納まりを最終確認をして、微調整をします。不安の無い状態で『建て方』に

臨んでいるのです。

当日は大工さん達にお任せです。安全を祈るばかりですが、効率的な息の合った動きを見るのは

気持ちの良いものです。一日で家の形が現れるので、家造りの工程の中で最も見応えのある日

になります。

⑦南東パース ⑧正面

⑨南全景 ⑩南跳ね出し

 

アトリエtaでは建築基準法上、構造計算が求められていない2階建て以下の住宅に

おいても構造計算を行っております。建築基準法の仕様基準に準じた場合ですと

構造耐力上過不足や不安定な部分が出ることがあり、また設計の自由度も制限されて

しまいます。

 

⑪和室 スキップフロアによる宙に浮いたような和室

⑭登り梁 ⑬小屋組 ⑫IMG_4942 自由な小屋組み

⑮跳ね出し部 キャンティ梁(持ち出し梁)による飛び出した部屋

このように従来通りの方法では安全確認のできない構造を構造計算によって検証し、安全を確かめて

実現します。

私は構造から建物を考えます。そうすることによって一般的な平面図、立面図で考えた建物とは違った

空間ができ、力学上(自然に対しても)合理的な空間ができると信じています。

アトリエta 俵