軽井沢千住博美術館/西沢立衛

中軽井沢の国道18号バイパス沿いに建つ美術館です。竣工は2011年。

設計は西沢立衛氏です。西沢氏は特に妹島和世氏との建築家ユニットSANNAにおいて世界中で活躍されている建築家です。

そんな建物が軽井沢で見られるのとても嬉しいことだと思います。

千住アプローチ

木立の間の長いアプローチを進むと

千住エントランス

かわいいエントランスがあります。

もう少し外部を回ってみると

千住深い軒 千住外部④

深い軒が出ていることが解ります。美術館ゆえ日差しを避けるためと、冬の積雪に配慮したものと思われます。

写真では全体像は解りませんが、平屋でとにかく低い建物です。従来の美術館建築のような権威的な要素は

一つもありません。また見えませんが、屋根は三次曲面によって構成されています。これも通常の切妻、寄棟屋根

よりも大きい建物ゆえにヴォリュームを抑えることに成功しています。

全体像が見えないのでショップで購入したポストカードで

千住ポストカード①

夜景です。3か所の穴(中庭)によって内部は自然の光で非常に明るいです。

外壁もゆるやかにカーブしているのがわかります。

三次曲面の屋根も緩やかに高低差があるのがわかります。

次に内部ですがこれも写真が撮れなかったのでポストカードで

千住ポストカード2

写真ではわかりにくいですが床は平ではありません。

これこそがこの建物の一番の特徴だとおもいます。地形に合わせて床が三次局面でうねっています。

急な部分は結構な勾配があります。

床は平でないといけないという常識を簡単に飛び越えています。実際に歩いてみるとまったく違和感を感じません。

また全体がワンルームになって見渡せるため、建築の内部なのに丘に登ったり下ったりしているような気になります。

この建物は床と屋根が三次局面で構成されています。一見単純そうに見えますが、天井が高い所、低い所を作るように

操作してあります。その組み合わせは無限に考えられる訳で、相当の検討を繰り返して設計したと予想できます。

美術館に付属した建物もあり

千住別館

別館です。この時は原田泰治美術展をやっていました。

千住事務所

かわいい事務所棟もあります。

千住ショップ

そして安井秀夫氏設計の脱構成主義的なミュージアムショップも面白いです。

是非休日にでも行ってみてはいかがですか。

詳しくはこちらhttp://www.senju-museum.jp/ja/

 

 

上田市農林漁業体験実習館(室賀温泉ささらの湯)/北河原温

ささら外観

上田市出身で東京芸術大学教授である北河原温氏の設計による温泉、直売所、蕎麦屋、等のある複合施設です。

周囲を山に囲まれたのどかな田園風景の中の広大な敷地の中に、はぼ平屋建の大きな建物です。

建物は大きなものですが、威圧感を感じられません。それは平屋建でボリュームを抑えてあることと、複雑な

屋根形状によって周囲の山と同化したように見える為だと思います。

ささら入口

温泉に行くときは遠回りになりますが、南側の入り口から入るのがお勧めです。

エントランスで料金を払い靴を脱ぐと大広間が見えます。

大広間

エントランスホールから階段を上ると温泉までの長いアプローチがあり、ギャラリーがあります。

ささらギャラリー ギャラリーコーナー

ところどころに三角形のテラスが内部に食い込みギャラリースペースに変化を与えています。

ギャラリー壁

傾いた壁や天井にただ者で無い建物であることが感じられます。

さらに進むと

廊下コーナー

温泉旅館のように情緒のある廊下が続きます。

ササラ中から

窓からは石積みと木の塀が見えますがこれが露天風呂の囲いです。

残念ながら温泉内部の写真は撮れませんでしたが、「岩風呂」と「檜風呂」の2種類あり、

毎月男女で入れ替わるそうです。檜風呂に入りましたが清潔でかつとても落ち着く温泉です。

北河原温氏にとっては大人しいというか本意でなかったかもしれない木をふんだんに使用したどこか懐かしい空間です。

しかしここまで風土に溶け込む建築はなかなか見られないと思います。特に切妻でも寄棟でもない屋根形状は北河原氏ならでは

のものになっています。そしてとにかく温泉が良い。上田にこんな良い温泉があることを誇りに思います。

詳しくはこちらをどうぞ。http://www.city.ueda.nagano.jp/hp/sys/20091103000001237.html

北河原温氏の作品は長野県ではこの建物のほかに

・稲荷山養護学校(長野市)

・信濃デッサン館槐多館(上田市)

等があります。興味のある方はどうぞ。

 

 

 

 

 

 

塩尻市民交流センター(えんパーク)/柳澤潤

エン夕景

塩尻市にある図書館、子育て支援センター、市民サロン等々のある複合建築で2010年竣工です。

設計は伊東豊雄事務所出身の柳澤潤氏です。

中に入ると

エン入り口1

エン入り口

視線が抜けるため図書館の動線がすぐ解ります。

3階から見下ろすと

エン3f2

エン3f

吹抜けにより上下にも視線が繋がります。

壁で仕切られた部屋を並べるのではなく、

ランダムに配置された壁によってなんとなく区切る。しかし全体は空間的につながっている。

利用者にとって使い方を限定しない自由な空間になっているように思います。

公共建築も最近、使い方を限定する四角い部屋を並べるだけの建築から脱しようとしています。

これには利用者の参加も必要でしょうし、設計者の力量も問われ、大変労力の必要な方法かと思います。

この使われ方を限定しない建物が、長く多くの人に愛され使われる生きた建築となるのだと感じます。

塩尻市すばらしい。上田にもこんな施設が欲しいです。

詳しくはこちらをどうぞ。http://enpark.info/すばらしい建物です。

 

 

松本市民芸術館/伊東豊雄

芸術館全景

松本市に2004年に竣工した松本市民芸術館です。

設計は幼少期を諏訪で過ごした世界的な建築家 伊東豊雄氏です。

外観は二次元の曲線で構成されていて空から見るとバイオリンのような形をしています。

中に入ると

芸術館内部

ホールの入り口のある2階に向かう大きな階段とエスカレーターがあります。

曲線の構成のせいか奥行を感じます。

壁にランダムに開けられた窓がきれいに光を取り込んでいます。

2階に上がると

芸術館2階

芸術館カフェ

広いホワイエとカフェがあります。

さらに上に上がると

芸術館階段

屋上庭園です。

芸術館屋上

訪れた日は演劇を上演していましたが、特に目的が無くても

屋上庭園に行って見たりカフェでゆっくりしたりホワイエで本を読んだりできそうです。

一見の価値ありです。

芸術館寄り

 

 

伊東豊雄さんの主な建物

・仙台メディアテーク(宮城県)

・アイランドシティ中央公園中核施設 ぐりんぐりん(福岡県)

・トッズ表参道ビル(東京都)

・多摩美術大学図書館(東京都)

・座・高円寺(東京都)

等があります。特に2000年の仙台メディアテーク以降の作品は意欲的なものが多いように思います。

近くに行かれた際には立ち寄ってみてはいかがですか。